~乙種第4類危険物取扱者試験の元素.原子.分子.物質の種類~
乙種第4類・危険物取扱者の基礎化学、「元素.原子.分子.物質の種類」について解説しています。物質はその成り立ちから単体、化合物、混合物の3つに大別できる。
元素・原子・分子
自然界には多数の物質が存在するが、あらゆる物質を構成しているもとの成分を「元素」といい、現在100種類余りの元素が公認されている。
「原子」とは物質を構成している究極の成分を粒子的に分類したものである。
元素又は原子を表すのに「元素記号」又は原子記号を用いる。
「分子」とは物質固有の性質を失わない程度の最小限度の粒子をいい、1個の分子は、1ないし数個、物質によっては数十個の原子から構成されている。
~物質の種類~
(1)単体と同素体
分解することも合成することもできない、ただ1種類の元素からできている物質を単体という。
また、同じ元素からできていて、性質の異なる2種類以上の単体を互いに同素体であるという。
(例)
・単体:酸素、水素、炭素、硫黄、金、銀、亜鉛、銅
・同素体:酸素とオゾン、ダイヤモンドと石墨、黄リンと赤リン
(2)化合物
元素が二種類以上化学結合したものを化合物(H2Oなど)といい、そのものの性質は、その結合しているもとの元素の性質とは全く異なる新しい性質を示しており、しかもそれをつくっている元素の結合する割合は常に一定である。
化合物は、一般に有機化合物と無機化合物に区分される。有機化合物は、炭素化合物で、その他の成分元素としては、水素、酸素、窒素、硫黄などの比較的少数の元素よりできているが、それらの元素の相互間の結合状態は非常に複雑で、化合物の種類もきわめて多い。
無機化合物は炭素化合物以外の化合物であるが、二酸化炭素(炭酸ガス)や一酸化炭素のように炭素化合物でありながら無機化合物として分類されているものもある。
また、化合物で分子式が同じであっても、性質が異なる物質を互いに異性体という。
(例)
・化合物:水H2O、二酸化炭素(炭酸ガス)CO2、ベンゼンC6H6
・異性体:キシレンC6H4(CH3)2、オルトキシレン・メタキシレン・パラキシレンの3種類の異性体がある。
(3)基(原子団)
一般に化合物は2種類以上の元素が化学的に結合したものであるが、いくつかの原子が結合して原子団(基ともいう)をつくり、その原子団が他の元素と化合物をつくる場合がある。
種類の異なる化合物でも、同じ基をもった化合物は性質上共通点が多い。とくに第4類には同じ原子団をもった有機化合物が多いので、主な原子団を次に示す。
化合物と原子団(基)
(化合物:類・酸・・・原子団(基)記号)
アルコール類・・・水酸基(-OH) アルデヒド類・・・アルデヒド基(-COH)
カルボン酸・・・カルボキシル基(-COOH)
ケトン類・・・カルボニル基(>CO)
アミン類・・・アミノ基(-NH2) ニトロ化合物・・・ニトロ基(-NO2)
エステル類・・・(R-COO-R') エーテル類・・・(R-O-R')
(4)有機化合物の特性
無機化合物にたいする有機化合物の特性は、概ね次のとおりである。
(a)炭素の化合物で、きわめて種類が多く、その成分元素は炭素のほかに主に、水素、酸素、窒素等である。
(b)鎖式化合物と環式化合物の二つに大別される。
(例)・鎖式化合物:アセトアルデヒド、メチルアルコール、アセトン
・環式化合物:ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン
(c)一般に水には溶けにくいが、アルコール、アセトンなどの有機溶剤にはよく溶ける。
(d)一般に融点や沸点の低いものが多い。
(e)ほとんどのものが非電解質である。
(f)一般に反応速度が遅く、またその反応機構は複雑である。
(g)一般に可燃性で、燃焼するほとんどのものが、二酸化炭素と水蒸気になる。
(5)混合物
単体や化合物が2種類以上単に混合し合ったもので、個々の単体又は化合物の性質はそのまま保有されており、しかもその混合する割合は任意に変えることができ、また比較的簡単な方法でもとの物質に分離できるものを混合物という。
(例)混合物:空気(窒素、酸素など)、原油(各種の炭化水素)、ガソリン・灯油・軽油(各種の炭化水素)、食塩水(水、食塩)